業務やプロジェクトをチームで進める際には、進捗管理表を活用して、業務の全体像や進捗を把握し「見える化」することが重要です。
計画的に業務を進めていくことで、最終的なアウトプットの品質が向上し、納期に対するストレスを減らすこともできます。
「現在の進捗率が分からず、納期までに間に合うのか不安を抱えている」
「各担当者がどこまで業務タスクを完了しているのか把握できていない」
「蓋を開けてみたらまったく進んでおらず、納期前に詰め込むことになってしまった」
上記のような悩みを業務管理表ツールを活用することで、ぜひ一発解決してみませんか？
今回の記事では「進捗管理を見える化」する方法やツール、そしてExcelで業務管理表を作成する具体的な方法などをご紹介します。ぜひ、これからの業務にお役立てください。
進捗管理の見える化とは
「進捗管理の見える化」とは、業務やプロジェクトの進捗状況を可視化し、チーム全体で共有することです。各工程の進み具合を進捗管理表で見える化しておくことで、現在の状況を一目で理解しやすくなり、最終的な納期、ゴールに対して最適な手法を取っていくことが可能です。
日報・ホワイトボード
日報とは、毎日の業務内容や進捗を記録する文書で、各担当者が上司やチームへ作業内容を報告するものです。
＜メリット＞
・リアルタイムに成果や現在の状況を共有できる。
・複雑な作業が発生せず、誰でも取り組みやすい。
＜デメリット＞
・短期的な作業内容の報告に偏りやすい。
・業務全体像の把握や、ゴールまでの進捗確認までは行いにくい。
・情報やデータの集計は困難。
また、ホワイトボードを社内に設置して、業務の進捗状況を記入していく方法もあります。
＜メリット＞
・見えやすいところに置くことで、誰でも簡単に記入できる。
・記入するだけなので、報告方法がシンプルで分かりやすい。
＜デメリット＞
・書ける情報量に限りがある。
・ホワイトボードの内容を、リモートワークの際や、社外で気になったときにすぐ確認ができない。
WBS
WBSとはWork Breakdown Structure（ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー）の略で、プロジェクトを細かいタスクに分解し、階層的に整理した図のことです。必要な作業を漏れなく洗い出し、タスクごとに作業を割り当てていくのに有効です。
＜メリット＞
・プロジェクト全体を小さな作業単位に分けて、漏れなくすべての作業を洗い出せる。
・各担当者に細かく作業を割り当てることが可能。
＜デメリット＞
・細かくタスクを分解するため、フォーマットの作成段階で多くの労力がかかる。
・タスク分解で項目数が増えることで、進捗管理に手間をかけすぎたり、過剰な管理に陥ったりしないよう注意が必要。
ガントチャート
ガントチャートとは、タスクごとの進捗状況を横棒グラフの形式で表示したものです。
＜メリット＞
・各タスクとプロジェクト全体の進行状況を視覚的に把握できる。
・タスクの依存関係や、並行して進められる業務が見える。
・期間が開始日から終了日まで明確なため、スケジュール管理がしやすい。
＜デメリット＞
・計画の変更にすぐに対応することが難しく、柔軟性に欠ける。
・大きなプロジェクトほどグラフ全体が複雑になる。
カンバンツール
カンバンツールとは、タスクごとにカードを作成し、「未着手」「進行中」「完了」など列に振り分けて可視化する方法です。
＜メリット＞
・作業状況の変更や更新がしやすく、柔軟な進捗管理が可能。
・誰がどのタスクを抱えているか、また進捗度合いが一目で分かる。
＜デメリット＞
・各タスクの負荷の大小が分かりづらい。
・タスクごとの関係性が見えにくく、作業の順序の把握がしづらい。
進捗管理の見える化おすすめツール4選
進捗管理を可視化するためのおすすめツールは以下の４つです。
・Excel
・スプレッドシート
・Trello
・jooto
それぞれの特徴があるため、業務内容に応じて選んでいくとよいでしょう。ぜひご自身に合ったツールを見つけてみてください。
Excel
Excelでの進捗管理のメリットは、使い慣れた人も多いため導入がしやすく、スムーズに活用が進みやすいことです。また、フォーマット作成の際にも、それぞれのチャート作成が簡単にできて、特別なスキルも不要です。
さらに基本的なテンプレートが入っているため、業務に合わせて入力していくことで簡単に高性能な進捗管理表を作成することもできます。
スプレッドシート
Googleのスプレッドシートはリアルタイムでの共有が可能であり、複数人の同時編集が可能です。また、Googleアカウントがあれば無料で利用ができ、クラウド上に保存されているため、ネット環境があればどこからでも確認できます。
ただし、Excelと比較すると高度な機能が利用できないこともあるので注意が必要です。
Trello
Trello(トレロ)とは、Atlassian社が運営するカンバンツールをベースとしたプロジェクト管理ツールです。各タスクをカード形式で管理し、進捗状況に応じてカードを移動させることで、業務状況を可視化するものです。
具体的には、業務の全体像を「ボード」で把握し、「リスト」で各タスクの進捗状況をカテゴリー分けしていきます。
“進行中”や“完了”などの「リスト」に、個別の「カード（＝タスク）」を動かしていくことで現在のプロジェクト全体の進捗状況が視覚的に把握できます。
ドラック＆ドロップで操作できて使用方法も分かりやすく、全世界で利用されています。
基本的な機能は無料プランで利用でき、スマホアプリやパソコンのデスクトップアプリ、Webブラウザからもアクセスできます。
Jooto
Jooto（ジョートー）は日本で開発された、カンバンツールを元としたクラウドベースのタスク管理システムです。Trelloと同じくカンバンツールを元としていますが、Jootoにはガントチャートの機能も入っています。また日本製なのでサポートが受けやすい点もメリットです。
株式会社PR TIMES社が運営しており、現在Jooto利用ユーザーは40万人を超え、2400社以上の企業で有料版が導入されています。
Excelを使った進捗管理を見える化する手順
Excelを使った「進捗管理を見える化」する具体的な手順をご紹介します。
ガントチャート作成の準備
ガントチャートの作成にあたって、始めにタスクの洗い出し、整理が重要です。
①タスクを洗い出す
②タスクを細分化して依存関係、順序を明確化する
③担当者へタスクを振り分ける
④タスクごとの開始・完了時期を設定する
大まかなタスク（親タスク）を洗い出し、そこからできるかぎり細分化したタスク（子タスク）に落とし込んでいきます。洗い出したタスクは次のステップのガントチャートの縦軸に使います。
なお、タスクにかかる所要時間なども把握しておくと、スケジュールを組むときに便利です。
タスクの洗い出しができたら、それぞれの作業量も考慮しつつ、特定の人にタスクの偏りが出ないよう振り分けます。
ガントチャートの縦軸を入力する
Excelのシートを開き、縦軸に各タスクを入力していきます。
- 新しいワークシートを作成：Excelを開き、新しいワークシートを作成。
- タスク名を入力：A列に「親タスク」、B列に「子タスク」の作業内容を書き出してすべての工程をリストアップします。
- タスクの担当者を入力：C列に担当者名を振り分けます。
日付を入力する
次に、横軸に日付を入力します。期間や納期に合わせてスケジュールを組み、開始日から終了日までの日付を連続して入力していきます。
1.各タスクの作業日程を設定：作業開始日から終了日までの日付を決定し、担当者列の右側に記載します。
ここでタスクの前後関係に注意し、「あるタスクが終わらないと開始できないタスク（＝依存関係のあるタスク）」の開始日の設定に注意します。
２.日付を入力：終了日の右隣に日付を連続して入力していきます。各セルには日付を1日ずつ増やして入力します。
最初の日付を入力した後、セルの角を赤矢印のようにドラッグすることで、自動的に連続した日付が表示されます。
開始日から終了日までを塗りつぶす
進捗状況や全体の作業見込みを視覚的に把握しやすくするため、各タスクの作業期間を色で塗りつぶします。
セルを塗りつぶす方法
- 色付けする範囲を選択：日付を自動で色付けする範囲を囲います。
- 「条件付き書式」の設定：１の選択をキープした状態で「ホーム」から「条件付き書式」の「新しいルール」をクリックする。
- 新しいルールに数式を入力する：
「数式を使用して、書式設定するセルを決定」から「次の数式を満たす場合に値を書式設定」のテキストボックスへ「=AND(F$1>=$D2,F$1<=$E2)」と入力します。
さらに「書式」の「塗りつぶし」から色を選び、「OK」で画面を閉じると下の図のように作業日が色付けされます。
プルダウンを活用
それぞれのタスクのステータスが分かるよう、「未着手」「進行中」「完了」などのプルダウンができるように設定すると、プロジェクト全体の進捗状況が一目で分かります。
プルダウンメニューの作成方法
- プルダウンを設定する範囲・列を選択
- データの入力規則を設定：上部のバーから「データの入力規則を設定」を選択。
- リストを選択：「設定」タブから入力値の種類「リスト」をプルダウンで選び、「元の値」に「未着手,進行中,完了」などと入力し、表示させたいステータスを登録しておきます。
なお、必ず表示させたい各ステータスの間は半角カンマ「,」で入力します。
最後に「OK」をクリックし画面を閉じます。
関数を活用する
Excelの関数を活用すると、進捗状況の自動計算も可能です。
たとえば、完了タスクの割合を自動で計算する関数を設定すれば、全体の進捗率を一目で確認できます。
＜関数を活用し、プロジェクト全体の進捗率を表示させたい場合＞
- 新しく「全体進捗率」を入力したい行を作成します。（ここでは14行目）
- 関数を入力：進捗率を計算するセルに、関数を入力します。
「完了タスク数/合計タスク数」を計算するために、「=COUNTIF（範囲, 検索条件）)/COUNTA(範囲)」を入力します。
＊今回は「=COUNTIF($F$2:$F$13,”完了”)/COUNTA($F$2:$F$13)」
3.進捗率を表示：計算結果が表示されます。パーセンテージ形式で表示するために、セルの書式設定で「パーセンテージ」を選択します。
エクセルテンプレートを使う
既存のExcelテンプレートをダウンロードし、自分の業務にカスタマイズすることで、初期作成の手間を省くこともできます。
Excelの「ファイル」タブから「新規」を選び、テンプレート検索欄に「プロジェクト管理」などと入れることでサンプルが表示されます。業務に合ったテンプレートを見つけて使ってみることもひとつの方法です。
まずは活用を始めてみることで、「今後はこんな項目を入れたい」「この計算ができるようにしたい」とカスタマイズするべきポイントが見えてくることもあるはずです。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するメリット
Excelを使って進捗管理を行うことで、以下のような3点のメリットがあります。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するメリット1 ：コストが低く始められる
xcelは大半の企業や個人のパソコンに搭載されていることが多く、新たな購入や導入のコストがかかりません。誰でも手軽に始められるのが大きな利点です。
無料のテンプレートやオンラインガイドも豊富に揃っており、分からないことがあっても調べればすぐに操作方法やアドバイスが出てきます。
ひとまず進捗管理を始めてみたい！という方にピッタリのツールです。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するメリット2 ：馴染みあるツールだから導入が楽
一度はどこかで触れたことがある方が多く、比較的馴染みのあるツールです。
新しいツールの導入と比べると、基本的な操作に慣れていることが多く、使いこなすまでの労力が少なく済むことが多いことが特徴です。
また、管理表の作成段階においても、基本的な操作でできるため、特別なスキルを必要としない点もメリットです。
Excelであれば、進捗管理表の導入から活用までをスムーズに進められます。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するメリット3 ：トラブルに早期対応できる
進捗状況がExcelで可視化されることで、「作業の遅れ」「問題の発生」が明確になり、トラブルに対応しやすくなります。
Excelだからこそ、フィルターや並べ替え、条件付き書式などの機能を活用することができます。データをさまざまな角度から分析できるため、遅れの出ているタスクの特定や、今後のトラブルの兆候を察知できるのです。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するデメリット
すでにご紹介したようなさまざまなメリットがありますが、一方で気をつけるべきデメリットもあります。
ここでは、Excelでの進捗管理のデメリットについて4点解説します。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するデメリット1 ：最初の準備が大変
初めてExcelで進捗管理表を作成する場合、ゼロからのフォーマット作成に時間と手間がかかります。
自分の業務やプロジェクトに合わせてカスタマイズしようとすると、さらに労力がかかり、時間を割くべき本作業以外の部分に時間を取られてしまう、なんてことにもなりかねません。
また、大規模なプロジェクトの場合には管理すべきタスクが増えて、初期設定がより複雑になることも考えられます。データ量が増え、Excelファイルが重くなることで、パフォーマンスの低下や、操作が重くなることがあります。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するデメリット2 ：リアルタイムでの更新が難しい
Excelファイルはタイムリーな情報共有には不向きです。
複数人が同時にファイルを編集することが難しく、他のユーザーがファイルを開いて編集している間に、別のユーザーが変更を加えることはできません。同時に作業しようとすると、編集内容が競合する可能性があります。
そのためクラウド上への保存や、最新のExcelファイルをメールやチャットなどで共有するなど、チーム内で最新版のファイルの所在を明確にしておく必要があります。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するデメリット3 ：テンプレートの使い回しが難しい
プロジェクトごとにタスクの数、期日、進捗状況の管理方法などが変わるため、細かなフォーマット調整が必要となり、以前のテンプレートをそのまま使い回すことは困難です。
毎回のカスタマイズが必要となることや、あらためてゼロからフォーマットを作成する労力が発生することが考えられます。
Excel（エクセル）で進捗管理を見える化するデメリット4 ：作った人がいなくなると作成ができなくなりがち
最初のテンプレートを作成した人のみが進捗管理表の作成方法を理解していて、ほかのメンバーがその作成方法を十分に把握していない場合、元の作成者が不在になるとファイルの再現ができなくなることがあります。
また、シート構成や関数を理解していない状態で更新や変更を加えようとすると、場合によっては誤った操作でファイルが破損することも考えられます。担当者の変更や異動時には十分な引継ぎが必要です。
まとめ
以上のような各種ツールによる「進捗管理の見える化」によって、業務を可視化でき、最終的なパフォーマンスの向上につながります。
近年では働き方改革やリモートワークが進み、顔を合わせない環境での業務も進んできました。
どのような状況であっても、お互いの進捗を共有し、プロジェクトや各タスクをコントロールしていくことがとても重要です。
「プロジェクトの進捗を一目で把握できる」状態を実現するため、それぞれの特性を理解し、効果的に活用していくツールの導入をぜひ検討してみてください。
