日本全国で1分間に1件以上発生しているとされる交通事故によって、わたしたちの“あたりまえ”の日常が一変してしまうことがあります。
いざ事故に直面すると、慣れない光景に目の前がまっ白になってしまったり、どうしたらよいのか分からず動揺したりすることもあるかもしれません。
自分の大切な車が損害を受けるだけでなく、身体に怪我が残ることや、事故後の相手とのやり取りで大きな精神的負担がかかることもあります。
ここでは、保険会社で毎年何百件もの事故解決を行ってきた私が、交通事故に遭ったときに、まず心がけるべきポイントを解説していきます。
ひとつずつ冷静に対処し、その後の示談や事故解決をできるだけ有利に進めていきましょう。
警察へ連絡し事故の届出をする

交通事故が発生したら、必ず警察へ連絡し届出を行います。
警察への届出を行うと、交通事故証明書が後日発行可能です。
そもそも事故報告は道路交通法で定められた義務であり、さらに事故が発生したことの証拠となります。
万が一解決が長引く場合には、裁判でも参考となるものです。お互いに主張が異なることもあるので、記憶が鮮明なうちに、自分の認識する事故状況を警察官へしっかりと伝えておきましょう。
ドライブレコーダー映像を保存する

近年、ドライブレコーダーが搭載されている車が増えてきました。まずは自分のドライブレコーダーの記録を確認し、保存しましょう。
しかし、意外と見落としがちなのは、保存できるデータ容量に制限があることです。SDカードを挿したまま事故後も運転していると、早くて数時間から1、2日程度で上書きされ消えてしまうことも少なくありません。
できる限り、事故の後はその場でSDカードを抜いておくか、当日中にはデータを別の媒体へ保存しておくことが重要です。
また、もし双方の車に搭載がなくても、第三者のドライブレコーダーや目撃者の証言などがあれば、それらも有効な証拠となる可能性があります。
あとから目撃者を探すのはとても難しいことが多いので、現場で協力が得られることが確認できた場合には、名前と連絡先を聞いておくとよいでしょう。
お互いの連絡先を交換し保険会社へ報告する

運転免許証を交換し、お互いの連絡先などをメモしておきます。
確認しておくべきポイントは以下のとおりです。
- 氏名
- 電話番号
- 住所
- 相手の車のナンバープレートと車種
- (確認できれば)相手の加入保険会社情報
上記の内容を、事故の発生住所や詳しい状況とともに、保険会社へ事故報告をします。
事故報告後は保険会社の担当が決まり、相手方へ直接やり取りをしてくれます。
なお、相手が会社の車に乗っていた場合には、会社名や勤務先の連絡先も確認できるとよいでしょう。従業員による勤務中の事故においては、雇用主へ損害賠償を求められる場合があります。
本人同士の示談交渉や支払約束は避ける

もし相手に示談を求められてもその場では応じず、支払や責任割合の約束は控えましょう。
感情的な場面に遭遇すると、現場で勢いにおされて、適切な判断ができずつい過剰な約束をしてしまいそうになることもありますよね。
しかし、あとから冷静になってみると「あんなこと言わなきゃよかった……」なんてこともあるかもしれません。
自分が加害者側であれば、常識の範囲内で謝罪や誠意を伝える必要がありますが「賠償や支払については、今後保険会社などの窓口を通して連絡します」と伝えるにとどめておくことをおすすめします。
車の修理手配を打ち合わせする

事故現場から車が動かせない場合には早めにレッカーを手配し、修理工場へ運びます。
また、加入している保険の補償を確認し、保険会社や修理工場と打ち合わせして修理の手配を行いましょう。
車両保険で自分の車の修理費がカバーされている場合には、すべて保険でまかなわれることがあります。また、解決の際に、責任割合がいくつになったとしても、当事者にまったく影響が出ないケースもあるのです。
きっとご自身で負担をする金額の部分が一番気になるところではないでしょうか……。それぞれの保険内容によって変わってくるので、疑問に感じたことは担当者に聞いてみてくださいね。
最後に
ほんのわずかな不注意から事故の当事者になることは誰にでもあります。だれしもが加害者にも、また被害者にもなり得るのです。
車の安全性は常に向上を続けていますが、それでも、あおり運転やわき見運転などによる大きな事故のニュースも絶えません。
万が一交通事故に遭った場合には、今回紹介したポイントをおさえることで、冷静な行動や判断ができるでしょう。スムーズに解決していくためにも、ぜひ心にとどめておいてくださいね。